年の途中で物件を売却すると、建物などの減価償却資産の
減価償却費の扱いで迷う方が多いようです。
例えば、個人で持っていた建物を、6月30日に1億円(簿価6千150万円)で売却したとします。
この年の減価償却費は、年間300万円計上できたので、
1月1日から6月30日までの半年間分、150万円の減価償却費があるとします。
1、減価償却費として計上しない場合
減価償却費150万円は減価償却されないので、
建物の簿価は、6千150万円のまま残ることになります。
結果、譲渡所得が3,850万円となり、売却益が150万円分少なくすることができます。
(わかりやすくするために、譲渡費用は除いています。)
売価1億円-簿価3,850万円=売却益3,850万円
その代わりに、不動産所得は150万円分、多くなります。
※平成13年の税制改正以降は、こちらが原則となっています。(所得税法49条1項)
2、減価償却費として計上する場合
減価償却費150万円は、不動産所得の経費として減価償却されるので、
建物の簿価は、6千万円残ることになります。
結果、譲渡所得が4千万円となり、売却益が150万円分多くなります。
売価1億円-簿価6千万円=売却益4千万円
その代わりに、不動産所得は150万円分、少なくなります。
こちらの処理は、所得税基本通達49-54で認められています。
このように、減価償却費を計上するかどうかは選べるというわけです。
したがって、譲渡所得と不動産所得に対する税率の違いを見て処理することで、
売却時に節税することが可能なんですね。