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地主さんの土地活用の優先順位(その1)

こんにちは。東京大家塾の大友哲哉です。


●地主さんの土地活用の優先順位(その1)

今回は、地主さんの土地活用の優先順位についてお話します。

よく、土地活用の相談を受けます。

「駐車場で使っている土地があるんだけど、もっと良い土地活用はありませんか?」

と。


このとき、土地活用について考える順序があります。


あなたは、どんな順序があると思いますか? 

 ・どこのハウスメーカーで建てるか?
 ・相続税がどれくらい節税できるか?
 ・どんな部屋にしたら満室安定経営できるか?
 ・どこの銀行からお金を借りるか?
 ・どの建築士に設計を依頼するか?

いろいろな考え方や順序があると思いますので、ここでは賃貸経営コンサルティングマスターとしての、私の考えをお伝えいたします。


●土地活用を考える5つの順序

早速、5つの順序をいいますと、次のとおりです。

 1、現状把握
 2、相続対策・事業承継
 3、貸宅地・古貸家・古アパートの整理
 4、土地活用の収益性
 5、社会貢献

 

●第1に優先すべきは「現状把握」

あたりまえのようですが、現状、どのような資産があって、収入と経費があるのか、把握しないことには始まりません。特に、親がアパート経営をしていて、高齢にともなって、子供が面倒を見るケースです。よくわからないけれど、土地活用して収入が増えて節税できれば万事解決できる、なんて思い込んでしまうのはよろしくありません。

会社経営に例えるなら、会社の赤字の原因が分からないのに、新しい事業に手を出すようなものです。


●第2に優先すべきは「相続対策(事業承継)」

土地活用=収益の最大化&費用(税金含む)の最小化と、安易に捉えるだけだと、将来の相続に失敗します。失敗というのは、残された家族が、遺産の分配や納税がスムーズにできずに、経済的にはもちろんのこと、家族愛が崩壊します。遺産争いがテーマのドラマや小説や映画は多くありますが、あれは大げさではありません。現実は、もっとみみっちい(僅かなお金にこだわるケチ臭いさま)争いが多いです。

会社経営に例えるなら、2代目の跡継ぎ争いや、2代目のボンボン社長によって、会社が破滅するようなものです。

 

●第3に優先すべきは「貸宅地・古貸家・古アパートの整理」

仮に、相続対策が必要ないケース(子が一人で全財産をそのまま受け継ぎ納税の心配もない)でも、この部分は避けては通れません。時間が経つに従って、問題解決できなくなるからです。なぜなら、古くからの借地や貸家は、契約書がなかったり、あっても内容があいまいだったり、しかも相手側も相続していると、これまでの経緯が分からず杓子定規に法律で処理するしかありません。こうなると、借地借家法で守られている借地人や借家人側に対抗するのは容易ではありません。お互いの当事者が存命のうちに、これまでの経緯を踏まえて問題解決に当たりたいのです。

会社経営に例えるなら、古くからいる重役との確執といったところでしょうか。


●第4にやっと「土地活用」

ここでやっと土地活用が出てきます。現状を放置して、相続対策も借地・借家問題を放っておいて、アパートやマンションを新築するのは早計です。なぜなら、新築したことで、相続問題や借地・借家問題が解決できなくなったり、より複雑にこじれてしまったりするからです。ここは、もう、本当に、ハウスメーカーや建設会社の「契約が取れればなんでもいい」という経営方針といいますか、理念(?)といいますか、これらの弊害でしかありません。もっとも、うまい話に乗っかってしまった人にも落ち度はあります。そうはいっても、事業者の持つ情報の質や量およびこれを利用した交渉力にかなうわけもありません。だからこそ、私の大家塾やJ-RECの大家検定のように、賃貸経営を体系的に学べる場が必要ですし、評価されているわけです。

会社経営に例えるなら、新しいビジネスをどう成功させるか考える段階ですね。これは苦しくも楽しい段階です。


●第5に「社会貢献」

社会貢献というと大げさかもしれません。「地元貢献」くらいがちょうど良いかもしれません。土地は個人の私有財ではなく公共財だとする考えがあります。ここを深く触れると国境問題に発展するほど壮大になるので、また別の機会に。もうちょと身近に考えると「地元で困っている人の役に立つことに自分の土地を使ってもらえるといいな」というものです。ここを優先しすぎて、相続対策、借地・借家問題、収益性を無視すると、単なるボランティアになってしまいます。

会社経営も同じですよね。「儲かりさえすれば何でもいい」これでは、社会から受け入れられることはありませんから、長く繁栄を続けていくことはできないでしょう。


●大切なのは「専門家の適材適所」と「全体のまとめ力」

土地活用と一口に言っても、下層にある課題に配慮しないと、収益性も社会貢献も無駄になってしまうのです。

これが分かることで、いきなりハウスメーカーや建設会社に相談したところで、相続対策や借地・借家問題は配慮してくれずに、こうした面倒なところをすっ飛ばして建築請負契約を締結させようとする魂胆が丸見えになります。

また、税理士や会計士では、相続対策はまだしも、借地・借家問題や建設関係に不安が残ります。ただ、最初の入り口としては悪くはありません。

ほかには、借地・借家の問題解決の専門家もいます。今度は相続対策や建設関係に不安が残りますね。


いかがでしょうか。

今回のまとめ的なものが見えてきましたか。

そうです。


それぞれの段階で適切な専門家がいます。彼らにうまく働いてもらうためには順序が大切なのです。また、その全体をまとめて、大きな問題解決や目標からずれないように、適時まとめていくことも必要です。こればっかりは、地主であるあなた自身が担うしかありません。この大きな役割を担うためにも、私の大家塾やJ-RECの大家検定で実務知識を学んでいただきたいと思います。


次回は、それぞれの段階について、より詳しく見ていきたいと思います。どうぞ、お楽しみに!


 

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